
通じる英語を目指すには
地域性とは無関係な次元で訓練するのが一番の早道。
アメリカ英語、カナダ英語、イギリス英語、オーストラリア英語などの地域性を超えた所に、普遍性の高い要因があるのです。そこに注目することが、通じる英語を身につけるのに最も効率的、というお話です。
英語に自信がないと、旅行先・留学先・駐在先でも、選択肢が限られてしまい、キャリア面でも趣味の世界においても好機を逸します。今はオンライン会議が盛んなので、海外に出ない方であっても、通じる英語を身につければ可能性が広がります。
日本では、発音や語彙の地域性に拘る方が非常に多いですが、実際、海外に出ると
様々な地域なまりと共存できなければ仕事になりません。
オーストラリアなまり、スコットランドなまり・・・ニュージーランド、インド、ベトナム、南ア・・・と様々。どこの出身者とでも、協力し合って結果を出していかなければなりません。
欧・米・加・豪、どこに行っても人種のるつぼです。例えば、カナダにいるからといって皆がカナダ英語をしゃべっているわけではなく、英語が国際共通語として使われているということですよね。
私の場合は、アメリカ西海岸から東海岸に引っ越した時、英語の用法の違いに慣れるのにしばらくかかりました。アメリカからオーストラリアに移住した時は、その数倍苦労しました。アムステルダムで、オランダ人、ドイツ人、フランス人、イギリス人が混在する欧州企業にいた時もまた、地域毎のクセやアクセントに振り回されてしまいました。
もし人生をやり直せるのであれば、地域性で回り道した時間を省きます。まず「国際共通語としての英語」を学びます。
- 地域性を超えた普遍性の高い「音声上のルール」をマスターする(地域毎の発音矯正よりコスパが良い)
- 文化圏間で共通項になりがちな「常識・良識」を堂々と主張・議論できるようにしておく。
「郷に入っては郷に従え」はその通りなのですが、日本でも欧米豪でも、社会の根底にある共通項のようなものがあるわけです。少なくともその根幹部分は、果敢に明確に英語で発言できるようにしておく。共通項とされる範囲がどのあたりなのかが事前に推定できていれば、「日本の常識だけど、海外では違うかも?」と躊躇し相手に不安を与える場面を大幅に削減できます。ためらい・謙遜・卑下は日本では良しとされるかもしれませんが、それは日本人同士に留めておいた方が無難です。
英語ネイティブであろうとなかろうと、英語の音声上のスキルと共通項的な軸知識を堂々と伝達できる人は、怖気づいたり諂うことなく自分の本領を発揮する傾向が強いと思います。私はそういう人達に出会うたび、 role model として意識し「なりたい自分像」に重ねていきました。
現地人と対等に:厳しいが素晴らしい人生経験
私は出国後、日本人との接点がない世界に飛び込んでいきました。
英語が得意だったこと、「少年よ大志を抱け」を本気にしていたこと、良くも悪くもプライドが高かったことが重なり、初めての外国であるカナダに着いてかなり早い時点で自由なコミュニケーションができるようになっていました。
ただ、仕事人として現地人と対等に使ってもらえるかは別問題です。仕事に就いたとしても、現地人との熾烈な競争に勝ちぬいていかなければ居残れません。
日本と無関係な職場ということは、「外国人」として大目に見られない、ということです。英語を国際共通語として競うガッツのある人が世界中から集まってくる。現地人より不利な点があったとしても、ハンディをハンディとも思わせない覚悟がある人材だけが上昇する世界。厳しいけれども、フェアな競争環境が好きなので、生きがいを感じました。
最近は、留学や移住をせずともオンライン上で英語でやりとりする機会が多いので、日本にいながらでも、国境に制限されることなくご自分の可能性を最大限に活かすことが可能です。若い世代には特に、容赦されないという緊張感の中に敢えて飛び込み、目標を高く設定することをお薦めします。間違いなく力がつきます。
悔しさを原動力にできた人が圧倒的に伸びる
私がお教えした社会人の英語学習者さんの中で、最も上達したトップ3は、もう「後戻りできない」という状況に追い込まれて苦しんでおられた方々です。
海外移住したが、言いたいことが言えず軽視されたり、何度繰り返しても自分の英語が通じない、学校で学んだ英語が役立っていないと感じ、日々絶望。それでも、悔しい思いを無駄にしないと誓い走り続けた人達です。
そういう状況下で絶望するのは当然です。だた、そこで悔しさにやられてしまうのか、悔しさを力に変換できるのか、が分かれ道だと思います。悔しさをバネにし踏み台とし、より逞しくなって復活してみせると思える情熱、こだわり、プライドがあるか?そういった要因の方が、語彙・文法・聴きとり等テストの合否を分けるような側面より、上達度合いを左右すると感じています。
一方、切羽詰まった状況にない方は、あまり伸びなかったです。人間というのは概してそういうものなのかもしれません。文法や語彙力もおありなのに、真剣になり切れていない、というか、真の剣で臨んでいない、というか・・同じ所をグルグルしているケースが多い。
勿論、海外に出れば上達するとも限りません。数十年英語圏に住んで英語が話せない日本人もおられるわけです。
なので移住の有無に関わらず、何らかの理由で情熱があり本気で取り組んでいる方は、練習用の剣ではなく真の剣で臨んでいるのでしょう。私から同じことを教えていても、吸収力や応用力が違うんですね。
悔しい思いをされている方は、それを無駄にしないでください。やる気の燃料にしないと、敗者復活戦の原動力にしないともったいないですよ。
嫌な思いをすればするほど、学びは深く大きく
私自身、悔しい思いを無数にしてきました。でも、落ち込んだままで終わると、後味が悪く、自分の歴史で思い出したくない時代が増えてしまう。そちらの方が耐え難いので、振り返った時に、辛かったけれどやって良かった、と思えるようなシナリオの中に自身を追い込んでいきました。嫌な思いをすればするほど、そこから得る学びは深く大きくする、と誓う。それが私にとってのプライドです。虚栄心は毒ですが、プライドは持つべき。
「真剣勝負」と遊び心
真剣勝負で取り組めば、真の剣で訓練した分成果が出ます。
加えて、遊び心があると更に上達に拍車がかかります。特に「演じる」ことを楽しめる人は、伸びしろが大きいですね。
英語をしゃべる時には、英語のキャラになり切る。そういう遊びを楽しんでみる。
英語はパスポート。キャリアでもプライベートでも無限に世界が広がる。投資のし甲斐アリです。